「女子校」で育つということ/曇りなき眼で

女子校出身である。

しかも中高一貫

 

十代のほとんどを女子だけの中で過ごす、というのはよく考えると異様なことだ。

女子校出身、しかも中高一貫ともなると、初対面の相手からほぼ言われることは「箱入り娘だね」だった。

 

当時小学生だった私にとって、女子校に進むということは絶望的な宣告だった。

 

洋服は兄のおさがり、道を歩けば男の子と間違えられ、男女分け隔てなく仲良くしているような子どもだった私には、乗り気ではない中学受験のために友達と遊ぶ時間を削って進学塾に通わされた挙げ句、親の決めた学校に進まされ、仲の良い友達と離ればなれにされることは苦痛以外の何者でもなかった。

 

大体、ボーイッシュな娘の進路に女子校を選択している時点で、私の親は完全に我が子の性格を見誤っている。そもそも女子校に進ませた理由は、何もわかっていない父親が適当に決めただけ、という恐ろしいものである。

 

 

十代を女子だけの世界で過ごす弊害は、大きい。

六年間、男子と交流のなかった私にとって、大学に入って、それまで自分の中の”12歳だった男子”がいきなり”18歳の男性”にアップデートされるのである。これはキツかった。どうやって接していいのかわからない。そのおかげで、小学校までの男の子ともマブダチになれるリア充だった私は、一転してすっかり男性苦手のコミュ障になってしまったのである。なんという悲劇。

 

 

女子校そのものを否定するつもりはない。

ツイッターでも話題になったが、そこそこのレベルの進学校であれば、総じて地頭が良く、経済的にも裕福な子達が集まるため、ほぼいじめはない。ギャル、オタク、地味、秀才がそれぞれの国家を築き、お互いの領地を侵さず、文化を尊重し、いざというときは不思議と一致団結する。異性を意識する必要のない解放的な雰囲気の中で六年間一緒に過ごす女友達は、一生の財産である。

 

だが、その濃密な六年の「後」のこともよく考える必要がある。私の周りではほぼ全員が、大学入学後の恋愛につまづいていた。そして、世に言う「大学デビュー」を試みるも、元々が校則の厳しい圧政下で育ってきた人間が、急にセンスの良いキラキラになれるわけもなく、総じてヤバいことになっていた。

 

我が子を中学受験させようと考えている親御さんには、くれぐれも注意してもらいたい。「なんとなく」や「良さそうな気がするから」というふわっとした理由で女子校を受けさせるのはオススメしない。お子さんの性格やお子さん自身の思いにきちんと寄り添ってあげてほしい。絶対に親の理想だけで決めてはいけない。

 

 おわり。